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「日本破局のシナリオ」〜待ったなし、日本再生構想〜

1995年12月25日 発行
企画・編集:(株)波乗社
発行所:(株)新講社
共著:上田きよし/遠藤乙彦/鴨下一郎/小池百合子/古賀一成/山本幸三

※現在絶版
日本破局のシナリオ
私が、当時の新進党の若手議員に呼びかけ、六名の共著で出版したのが「日本破局のシナリオ」。改革の実現のためには、広く国民の皆さんに「惰性の先にある、破局の様相」を示すことだ。この警世のおもいで、発信したものです。7年後の今を見たとき、警告が、あまりにも的中したのが残念でなりません。
読者の皆さんから寄せられた、「政治家なら、次に再興と処方箋を」のご指摘にいずれ、応えるつもりです。

【目次】
まえがき(古賀一成)
1995年8月15日正午。全国津々浦々の市役所や役場のサイレンが猛暑の夏の空に鳴り響いて、戦後五十年ちょうどその時を迎えた。
例年になく長く長く鳴リ続いたサイレンが意味するように、時代は戦後よリ半世紀という節目を迎えたが、今、日本は次の50年へ向けてのシナリオを描きえているのであろうか。
東西冷戦構造の終結、ヨーロッパの統合、加速する経済の世界化や東アジア経済の勃興等、世界は大きな秩序の変化を起こしつつある。その中にあって、日本はこの戦後五十年の間にたどってきた旧来のシナリオ、体質で次の時代も豊かでありうるのだろうか。
バブル経済の崩壊、弱々しい景気回復の足どりと不況への再突入、製造業はおろか金融にまで広がり始めた経済の空洞化。混迷つづく政治をさらに激しくゆさぷる災害の頻発、オウム真理教の狂気ともいえる事件、そして全国各地で珍しくなくなった銃器発砲事件。
不変と思われていた安全神話、土地神話、銀行不倒の神話が次々に崩れてゆく。日本は本当は病んでいるのではないか。しかも、その「病」は、一時的な風邪でも一部の外傷でもない。
体全体を触む「成人病」、構造的ともいえる病ではないか、この病んだ体質を抱えて、これまでのやり方、シナリオを続けたとき、日本はとリ返しのつかない「破局への道」を進むことになるのではないか。
2001年までの5年余りが、胎頭するアジア諾国にとっては飛躍のための助走期間になるのに対し、日本にとっては衰退始まる、まさに“世紀末”の5年間となるのではないか。
本書は、おおむね、このような視点に立って、新進党に結集した若手6人の衆議院議員の勉強会での議論から生まれたものである。
ここに参加した6人の議員は全員が楽天家の部類に属する。政治は夢やビジョンを語る楽天主義(オプティミズム)でなければならないと信じ、行動するタイプの人間ばかりである。
しかし、この六人のオプティミストが議論を重ねるごとに、“将来の夢”は、"現在の隘路”に立ち返り、“明日の繁栄〃は“衰退、破局”という結論になってしまう。
それほど今、日本は、政治、経済はもとより社会・教育すべてにわたって閉塞的状況におかれている。
これを打開するためにわれわれがなすべきは何か。いうまでもなく、その場しのぎの対症療法ですむはずはない。病根を断ち切り、病理を生みだすシステムを勇気をもって変えてゆくこと、すなわち「改革」をおいてほかはない。
「改革」は、これまでの秩序に安住する人々に痛みを与えるからこそ難しい。
この「改革」をやり遂げる第一の条件は何であろうと論議したとき、われわれが一致して得た結論が、「改革」なくして、惰性と旧習で進んでいったときに必ず遭遇する衰退、破局の様相を広く世に示すことであった。
病に冒され、手術なしでは回復しえないのにこれを受けっけない人のことを考えればわかりやすい。手術をすれば病は治ると説得しても納得しない患者には、手術をしない場合の結末を告知するしかないのだ。
将来の夢にみちた展望を語るべき政治家たちが、タブーを破る覚悟でまとめたのが本書『日本破局のシナリオ――待ったなし、日本再生構想――』である。
今わが国は、政治においても、あるいは教育の現場や企業においても、次なる時代への目標、次なる国家像、社会像、人間像が見出せない状況にある。
『坂の上の雲』。明治の群像を描いた司馬遼太郎の著作で有名なこの言葉に、私は深い関心を覚える。
明治維新の志士や明治政府の人間たちが抱いた国家像は近代国家日本、欧米に負けない豊かな文明国家日本。その目指すべき日本の姿が、これから上ってゆく『坂の上の雲』に喩えられたものだと思う。以来、日本は、政府も産業も大人も子供たちも、ただひたすらと汗を流して坂を上る蟻のように、近代国家を目指し、働き続けてきた。太平洋戦争の敗戦はあったものの、戦後日本はこれまで50年にわたり、ただひたすら経済大国の道を歩んで来た。今、目指してきたこの峠の項上に立って、日本は次なる頂きを失い、たどりついたお山の頂きで右往左往し始めた蟻のようだ。
近代国家への道、追いつき追い越せ、キャッチアップ、それらはすべてが成就してしまったのだ。130年の目標を失い、日本は、次の時代へどう生き、何を目指そうとしているのか。
今こそ上り坂の足元ばかりを見続けてきたその視線を上げ、「小世界」から21世紀の世界という「大世界」に再び目をやり、その中での日本のあるべき姿を描き出すべきときなのだ。

序章 待ったなし、流砂のごとき日本(古賀一成)
「改革政権」誕生の意味は何か
日本丸は再び、古ぼけた
改革は「未来」からの問いかけへの答え
世紀末の大震災が問うたもの
現実となった旧い政治の弊害
「フェイル・セーフ」の発想の欠落
「経済効率」を直撃した大震災
日本が危うい
崩れ始めた「銀行不倒」の神話
雇用が危ない
パラダイム・シフトと官僚機構
これからは「インター」の時代
「インター」を拒む縦割り社会
「政策融合」こそ、これからの課題
三段重ねのタコツボでおこなわれる政策決定
省庁の出先機関化した国会の委員会
政治復活の突破口=総合政策委員会
テレビ中継が政治を活性化する
規制大国ニッポン
規制緩和は、なぜ進まぬ
政治のリーダーシップのみが規制緩和を実現する

第一章 個人資産が消える(上田きよし)
一、銀行神話の崩壕
二、郵便貯金は大丈夫か
三、株式市場は安条死か
四、地価は底なしか
五、国家破産はあるか
六、経済再生のキメ手はあるか

第二章 日本経済の破局(山本幸三)
一、それは、突然起こった
二、日本経済は破局の淵にある
三、今が、ラスト・チャンスだ

第三章 国際杜会から見捨てられる日本(小池百合子)
一、開いたパンドラの箱
二、日米安保を捨てるアメリカ
三、平和の代償

第四章 超高齢化社会へのカウント・ダウン(鴨下一郎)
一、二十一世紀の日本、暗い展望
二、寝たきリ老人の世話を誰がするのか
三、暖かい治療や人間味あふれた着護がしにくい医療制度
四、負担と受給の世代間戦争

第五章 日本杜会のパラダイム・シフト(遠藤乙彦)
一、現代日本社会の危機
二、危機の背景――脱冷戦と脱産業社会
三、新しいパラダイムを求めて
四、戦後日本政治の目標価値の変化
五、自己実現社会のイメージ

あとがき(古賀一成)