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2002/2/28(木) 17:59 |
| 都市再生と高規格介護住宅 |
今、国会は鈴木喚問で揺れていますが、この問題が決着し平成14年度予算が衆議院を通過すると、
国会は関連法案の審議に入ることになります。国土交通委員会の最初の法案は、政府提案の「都市
再開発法改正案」と「都市再生特別措置法案」です。
私は、国土交通委員会の筆頭理事を努めていますが、この重要テーマについて、政府・与党案よ
りもっと分かりやすく、問題意識を明確にした形で対案を出したいと思っています。今日、その素
案をまとめてみました。今後、党内、ひいては委員会で論議することとなりますが、皆さんのご意
見も伺いたく、ここに掲載します。
民主党・国土交通部門会議・都市再生研究会
都市再生構想素案
2002.2.27
≪ はじめに ≫
○ 今、日本は「不況列島日本」とも言うべき厳しい経済情勢が続いています。政府の補正予算の
掛け声にも、株価・債券・為替レートなど経済指標は何の反応も示さず、失業・倒産・自殺・所得
なども、じわじわと最悪の数字を更新しつつあります。このままでは「日本は破綻する」、多くの
国民の皆さんがこんな懸念を持ち始めたのではないでしょうか。
○ 最初は、期待をもたせた小泉総理の「構造改革なくして景気回復なし」の掛け声でしたが、政
権ができて約1年を経たいまなお、国民には「国民にとっての構造改革」の内容も「構造改革後の
日本の姿」も見えず、「構造改革で日本が再生するイメージ」も日々薄らいきています。国民は、
逆に「痛み」増しながら、ただ自民党内の政治力学の変化で浮き上がってきた政治の実態に驚き、
怒りをつのらせているだけはないでしょうか。
≪ 日本経済再生のシナリオが描けないのは、何故か。≫
いま、日本は単なる景気循環の谷間にあるだけではありません。国際化・情報化の大きな潮流は
、世界規模での「大競争社会」をもたらしており、しかも国内にはこれまでにはなかった多くの隘
路が横たわっています。
日本の行く手にある基本的隘路は、急速な少子・高齢化、人口減少の趨勢と「もの余り社会」での
個人消費の限界。国内にある過剰な供給体制とこれに追い討ちをかける開発途上国からの輸出攻勢。
さらに、経済の循環機能たる金融の破綻、新しい発想による起業・開発を阻む規制の網等です。
これら内外の制約を乗り越える戦略の提起と実現こそが「真の構造改革」であり、いくら「構造改
革」の名の下に、官庁間の権限変更、組織の再編、国民への負担追加を調整しても日本経済再生へ
の道はひらかれません。
その意味で、小泉構造改革は-「聖域なき構造改革」の旗を掲げたものの、「真の構造改革」へは、
一歩も前進していないというべきです。
日本再生の突破口を開くべきは、まず政治です。しかし、これまでの「まず省庁ありき」の政策体
系、惰性・しがらみを脱し得ない今の政治体制では、けして「真の構造改革」への突破口は開かれ
ることはありません。
財政バラマキ型の経済運営、特に中央主導の補助金政策、それに寄生している「族政治」、「族
政治」の土壌ともいえる過度な中央集権、それに依存して政権を持ちつづけている自民党政治では、
日本は折角の「民の力」は封じ込められたまま、ずるずると借金を増やしながら破綻に突き進むこ
とになるでしょう。
小泉構造改革は、構造的な日本の制約要因に対し、打開の構想はおろか、問題認識すら示してお
らず、真っ先に取り組むべき足元の自民党的政治の改革にも未だ成果がないというべきです。
まもなく1年を迎えんとする小泉構造改革がいまなお、掛け声の域を超えず、党内の軋轢だらけで
あることが、自民党小泉政権の構造改革の限界性を如実に示しています。
≪ 日本の最大の資産「国民金融資産」を国内投資に ≫
我々民主党は、財政バラマキ中心の経済運営、中央主導の補助金政策、それに寄生する「族政治」、
その土壌たる中央集権や過剰規制体制を打破し、「民の力」を最大限活かす経済・社会を目指します。
○ 今こそ,日本は日本の最大の資産「国民金融資産」を国内投資に活かすことを中心において、新
たな日本創造論を確立すべきです。特に「21世紀の豊かな国民生活の実現」の分野に、「国民金融
資産」を活用するなら、国民は明日への安心と期待をもち始め、それこそ戦後勤労に励んで蓄積して
きた富を活かすことになります。
この分野でやるべき課題は、多いのです。「機能的で魅力ある都市の整備」「個性豊かな地域の創
造」、「高齢化社会にふさわしい住宅の整備」「環境再生」さらに「ITによる福祉・医療の高度化」
など枚挙にいとまがありません。
これを財政依存ではなく「国民金融資産」を駆使して達成してゆくプログラムこそが「構造改革」
の大きな柱でなければなりません。
民主党は、このような視点に立って、「国民金融資産」の活用が最も適している「都市再生と住宅」
の分野で、次の構想を提起します。
≪ 民主党の都市再生と住宅政策構想 ≫
これからの都市再生と住宅に関する構想の前提となる現状認識は、つぎの2点です。
@ これまでの「持ち家政策」は限界にある。
戦後日本の住宅政策は、持ち家政策中心に進められてきました。その結果、住宅充足率は %に達
し、一定の成果をみましたが、いまや持ち家制度はいろいろな面で社会のニーズと乖離し、矛盾を起
こしています。
・持ち家主義は、所得上昇と永年雇用を前提にしていました。しかし、今日の大不況、そして今後避
けられない低成長時代の到来により、ローンの支払いに四苦八苦し、資産価値の値下がりで売ろうに
も売れず困り果てた勤労者は数知れません。リストラ、倒産に遭遇したサラリーマンは、さらに悲劇
的であり、自己破産、自殺に追いやられる例すらあります。
・また、持ち家は、サラリーマンを転勤時の賃貸・管理問題で悩ませ、単身赴任を余儀なくさせてき
ました。さらに、持ち家は、田舎に病弱な親がいても、ローンに縛られた持ち家のために帰れない等、
人口の流動性を低下させています。
・一戸建て持ち家政策は、一方で大都市のスプロールをもたらし、たとえば東京圏は直径数百キロメ
ートルという世界に例を見ない都市となりました。それは、遠距離通勤と通勤地獄と呼ばれる混雑を
引き起こし、道路、下水道など社会資本整備にも過大な負担をかけています。低層の持ち家が引き起
こしている官民にわたる無駄・非効率は計り知れないものがあります。
国が持ち家優先政策を改め、ライフステージにあった優良な賃貸住宅を保障する総合な政策を推進
するなら、このような社会問題は大幅に減るのです。
A 今、「住宅の質」とは何かが問われている。
今、世界も日本も大きく変わろうとしています。「少子高齢化」「国際化」「成熟化社会」「低成
長」等これからの経済・社会を展望したときに、あらためて国民にとっての「住宅の質」とは何かが
問われ直されなければなりません。
・第一に、これからの「住宅の質」は、単に保有する家の広さやではなく、家族構成の変化、家族の
成長、家庭の事情の変化に応じて、必要な住宅を得る事ができること、すなわち「ライフステージに
あった住宅へのアクセスビリティ」と考えるべきです。そのため最も優れた手法は、賃貸住宅の充実
です。
・ そして、これからの住宅は、高齢になり、要介護となっても自立・家族介護ができるハイテクシ
ステムを組み込んだ「高規格介護住宅」であることが求められます。年老いた親の面倒を見ている人
だけでなく、将来高齢者となるすべての人々にとって、こうした住宅は「安心」を与えるでしょう。
民主党の都市再生と住宅に関する構想の視点は、次の4点です。
@>財政出動よりも「国民金融資産」を活用しよう。
いまや破綻した財政に、多くを期待しつづけるのは止め、我われが戦後汗と 勤労で積み上げてき
た世界最大の「国民金融資産」即ち我われの預貯金をもっと我われと子孫のために活用することを
考えます。
現状はどうでしょうか。「国民金融資産」はこれまで、米国債等の対外債権に、政府開発援助に、
対外投資等に多くを割いてきました。たとえば、これまで中国には、高速道路建設のため944億
円の円借款が供与され、いまや21世紀の中国の大動脈1万9,000キロメートルが完成を見るにいた
っています。
「国民金融資産」活用を主軸において、財政は利子補給、債務保証などこれを支える仕組みとすれ
ば、1の財政出動で10の「国民金融資産」の活用を図ることも可能になります。都市再生・住宅
整備はもっともこれに適した分野なのです。
A> 国富を国土に残し、次の世代に贈ろう。
日本は、世界トップクラスの経済を達成し、世界に冠たる「国民金融資産」「対外債権」「政府開
発援助」「国連拠出」などを実現しながら、以前から指摘されていた住宅や都市機能も依然不十分
のまま高齢化社会を迎えつつあります。最近ではかって上位を誇っていた「国際競争力」「治安水
準」「教育水準」など多くの水準が堰を切ったように下落しつつあります。ドイツは、戦後「豊か
な国民生活は、国家の財産である」との思想で戦後のスタートを切りましたが、比較したとき、彼
我の差は歴然としています。国富をこの日本に投じ、迫りくる「超高齢化・介護社会」に対応した
都市や居住環境を整備することは、次の世代に対するわれわれの義務ではないでしょうか。
B 縦割りをこえた民間の創意工夫で、総合的な社会開発と景気回復を図ろう。
これまでの政策は、財務省の財政の論理、各省庁の縦割りの論理に族政治の論理が絡み合って作
られ、執行されてきました。そこには総合的にいいものを効率的につくる発想は希薄で、地域の特
性を封じた縦割りの補助金行政等はかえって資源配分の無駄をもたらしてきました。財政破綻だけ
でなく、あらゆる分野で日本を蝕んでいるのは「縦割りの非効率」と「縦割りの知恵のなさ」です。
国民や次の時代のニーズに対応するのが本当の政治です。長らく日本を支配してきた「縦割り・
族政治」「中央集権・上意下達」「過剰規制」を改革し、国民のニーズと民間の創意工夫を基軸に
おいた、魅力ある都市や居住環境の整備がもとめられているのです。無駄な規制を排し、効率的に
魅力ある都市開発や住宅整備が進むなら、それが持つ大きな需要誘発効果で、景気回復を牽引しま
す。
民主党の都市再生・高規格介護住宅整備構想の大綱
構想の大綱は次のとおりです。
〇 大都市の消防車も入れない密集市街地、高度利用が望まれる県庁所在地や空洞化が進む地方都
市の中心市街地に、新しい「都市再生特別区域」(「ルネッサンス・ゾーン」)を申請により指定
します。
〇 「ルネッサンス・ゾーン」の都市計画規制を白紙化し、民間参加による総合的な「ルネッサン
ス計画」のコンペを実施します。
〇 関係行政機関(国・都道府県・市町村)と地権者、街づくりNPO、有識者からなる「ルネッ
サンス協議会」を設立し、「ルネッサンス計画」を審査します。
〇 採用された「ルネッサンス計画」について総括的な行政との調整を実施し、時間コストや手戻
りのない効率的な実効を保障します。
〇 容積率等について、大幅に緩和措置を講じます。
〇「ルネッサンス計画」の採択条件は、
・ 緑地率・道路率・セットバック・バリアフリー化等良質な都市空間を創造すること。
・ 賃貸住宅を中心に「高規格介護住宅」を一定比率整備すること。
・ コミュニティルーム、コミュニティゾーンの付置による共助システムを確立すること。
・ IT・ハイテク福祉技術の採用など創意あふれる街づくりであること。
・ 抜本的な容積率緩和とともに、公共機能の提供に応じた資金援助(出資、無利子貸付、利子補
給)を行います。
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